R. ワーグナー作曲

『タンホイザー』全3幕
TANNHÄUSER

ペトレンコ、カステルッチ、フォークト
完璧な布陣による『タンホイザー』

『タンホイザー』は、ワーグナーが中世の史実や伝説をもとにつくったオペラです。テーマは「愛」と「救済」。官能的な快楽を求める「愛」と、精神的な清らかさを尊重する「愛」の間に揺れる主人公タンホイザー。それぞれの「愛」を象徴する二人の女性ヴェーヌスとエリーザべトは、彼の「救済」となり得るのか。ワーグナーの音楽は、官能の渦に引き込んだかと思えば、魂の昇華を思わせる崇高さを繰り広げます。包み込まれる響きのなかで、古今東西を問わず永遠普遍のテーマである「愛の本質」に、誰もが心を揺さぶられずにはいられません。

それだけに、演出による描き方はさまざま。今回演出を手がけるロメオ・カステルッチは、バイエルン国立歌劇場のバッハラー総裁が“舞台美術と演出における魔術師”と呼ぶイタリア人。2017 年5 月のプレミエに向けて、「タンホイザーは愛の概念のなかで危機に瀕した人物であると同時に、それが芸術家としての源泉になる」と語り、時間や場所を特定できない精神的な風景となる、とも言います。魔術師と呼ばれるだけに、その種明かしは初演を待たなければなりません。はっきりしていることは、指揮者ペトレンコの手腕。ワーグナー作品において、すでに絶大な評価を得ていることです。『タンホイザー』は、ワーグナー自身によっていくつか改訂された版がありますが、ペトレンコは「これまでにない独自ヴァージョンで」と意欲を見せています。

天才指揮者と鬼才と評される演出家が生み出す舞台に、人気実力ともに世界の最高峰に立つワーグナー・テノール、クラウス・フロリアン・フォークトが登場、このプロダクションで初めてのタンホイザー役に挑みます。この超目玉公演は、オペラ・ファンなら絶対見逃せません。

予定される主な配役

領主ヘルマン:
ゲオルク・ゼッペンフェルト

ドイツのアッテンドルン生まれのゲオルク・ゼッペンフェルトはデトモルトとケルンの音楽院で学んだ。ミュンスターとボンの歌劇場での活動を経て、2001年から2005年までドレスデン国立歌劇場のメンバーとして活躍。以来これまでに、ニューヨーク、シカゴ、ロンドン、ミラノ、パリ、ウィーン、ベルリン、マドリッド、バルセロナの歌劇場や、ザルツブルク、バイロイト、バーデン・バーデン、グラインドボーンなどの音楽祭に出演している。

レパートリーには、『魔笛』のザラストロ、『魔弾の射手』のカスパール、『ローエグリン』のハインリッヒ王、『パルジファル』のグルネマンツ、『フィデリオ』のロッコ、『ルサルカ』の水の精、『トリスタンとイゾルデ』のマルケ王、『ランメルモールのルチア』のライモンドなどがある。

2015年にドレスデン国立歌劇場の宮廷歌手の称号を得た。

タンホイザー:
クラウス・フロリアン・フォークト

Photo:Harald Hoffmann

ドイツのシュレスヴィヒ=ホルスタイン州出身のテノール、クラウス・フロリアン・フォークトは、1988年から1997年までハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団のホルン奏者だった。歌手としての資質に気づき、リューベック音楽大学で声楽を学び、1997年にはフレンスブルク歌劇場のアンサンブル・メンバーとなった。

1998年から2003年はドレスデン国立歌劇場と契約。当初はリリック・テノールの役を歌ったが、2002年に初めて『ローエングリン』のタイトルロールを歌い、一気に世界の舞台へと活躍の場を広げた。2003年以降これまでに、ニューヨーク、マドリッド、パリ、ロンドン、バルセロナ、ミラノ、ウィーン、ベルリン、ハンブルクの歌劇場、およびバイロイトやザルツブルク音楽祭でも人気を獲得している。バイロイト音楽祭へのデビューは2007年『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のストルツィングだった。

近年のレパートリーには、『さまよえるオランダ人』のエリック、『死の都』のパウル、『ホヴァンシチナ』のアンドレイ、『ナクソス島のアリアドネ』のバッカス、『ローエングリン』と『パルシファル』と『ホフマン物語』のタイトルロールなどがある。

ウォルフラム・フォン・エッシェンバッハ:
マティアス・ゲルネ

Photo:Marco Borggreve

ワイマール生まれのバリトン、マティアス・ゲルネは、エリザベト・シュヴァルツコップ、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウにも師事した。

1997年にザルツブルク音楽祭『魔笛』のパパゲーノでデビューして以来、英国ロイヤル・オペラ、パリ・オペラ座、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、マドリッドのレアル劇場、メトロポリタン歌劇場、ドレスデン国立歌劇場、チューリッヒ歌劇場など、世界の著名な歌劇場で活躍している。

レパートリーはモーツァルトからワーグナーまで幅広く、近年では『ヴォツェック』や『画家マティス』のタイトルロールなどにおける研ぎ澄まされた声と性格描写に長けた演技が一体となった表現で高評価を得ている。

また、2001年から2005年までデュッセルドルフのロベルト・シューマン音楽大学で名誉教授として歌曲科で教鞭をとった。日本では歌曲によるリサイタルも重ねており、その深い解釈に魅了されているファンも多い。

バイエルン国立歌劇場では、1994年につくられたデヴィッド・オールデン演出による『タンホイザー』でも、ウォルフラムを歌っている。

エリーザベト:
アンネッテ・ダッシュ

Photo:Daniel Pasche

ベルリン生まれのアンネッテ・ダッシュは、ミュンヘンとグラーツの音楽大学で学んだ。

現在最も活躍しているソプラノの一人として、ニューヨーク、ロンドン、マドリッド、バルセロナ、ボン、アントワープ、フランクフルト、ドレスデン、ベルリン、ストックホルム、ブリュッセルなど、世界の重要な歌劇場に出演を重ねている。世界の注目を集めるきっかけとなったのは2007年のザルツブルク音楽祭における『アルミーダ』のタイトルロールだったが、2011年のバイロイト音楽祭『ローエングリン』のエルザでの成功も話題を呼んだ。ダッシュは同役をシュツットガルトとベルリンでも歌っている。

レパートリーには、『魔笛』のパミーナ、『コシ・ファン・トゥッテ』のフィオルディリージ、『トゥーランドット』のリュー、『フィガロの結婚』の伯爵夫人、『ホフマン物語』のアントニア、『ヘンゼルとクレーテル』のグレーテルなどがある。

バイエルン国立歌劇場では、2016/2017年には『オベロン』のレーツィアを歌う。

ヴェーヌス:
エレーナ・パンクラトヴァ

Photo:Vitaly Zapryagaev

ロシアのソプラノ、エレーナ・パンクラトヴァは、生地エカテリンブルクで指揮とピアノを、サンクトペテルブルクの音楽院で声楽を学んだ。レナータ・スコットに師事し、イタリアやスペインの数々のコンクールで優れた成績を獲得。オペラ・デビューはニュルンベルク州立劇場の『仮面舞踏会』アメリアだった。

パンクラトヴァが国際的な注目を集めるきっかけとなったのは、2010年フィレンツェ五月音楽祭で『影のない女』のバラクの妻。この役では、ミラノ・スカラ座、バイエルン国立歌劇場、英国ロイヤル・オペラでも大きな成功をおさめ、そのほかの役でもベルリン、ドレスデン、フランクフルト、ウィーン、バレンシア、サンクトペテルブルクの歌劇場ほか、バイロイト音楽祭でも活躍をみせている。

レパートリーには、『パルシファル』のクンドリー、『ワルキューレ』のジークリンデ、『アイーダ』と『トゥーランドット』、『エレクトラ』、『ノルマ』のタイトルロールなどがある。

バイエルン国立歌劇場2016/2017年シーズンには、『こうもり』のロザリンデ、『タンホイザー』のヴェーヌス、『影のない女』のバラクの妻を歌う。


バイエルン国立歌劇場合唱団
バイエルン国立管弦楽団

※表記の出演者は2017年2月8日現在の予定です。病気や怪我などのやむを得ない事情により出演者が変更になる場合があります。その場合、指揮者、主役の歌手であっても代役を立てて上演することになっておりますので、あらかじめご了承ください。出演者変更にともなうチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。最終出演者は当日発表とさせていただきます。